昔々、ある村に正直者の樵が住んでいました。彼は深い森の中で木を切り、その木を町で売ることで生計を立てていました。
ある日、彼がいつものように木を切っていると、手元が狂い、大切な斧が川底に沈んでしまいました。大切な道具を失った彼は、ただ打ちひしがれるしかありませんでした。
それは彼の生活を支える唯一の道具だったからです。樵がその場で肩を落とし、神に助けを願うと、不思議なことに川から美しい女神が現れました。
女神は彼の状況を聞き、川に潜って斧を探してくれると言いましたが、最初に差し出したのは輝く金の斧でした。
「これはあなたの斧ですか?」と問われ、樵は正直に「いいえ、私の斧ではありません」と答えます。
それから次に差し出されたのは銀の斧でしたが、彼もまた正直に「それも私のではありません」と応えます。
最後に女神が差し出したのは、彼が元々持っていた普通の鉄の斧。彼は即座に「それが私の斧です」と答えました。
その正直さに感心した女神は、金の斧と銀の斧までも彼に与えました。
この物語を通じて、私たちは明確に一つの教訓を学ぶことができます。
それは、どんな状況でも誠実さを失ってはいけないということです。目の前に大きな誘惑が訪れたときこそ、本当の人間性が試される瞬間です。金の斧も銀の斧も、確かに魅力的であり、それらを受け取ることで一時的な豊かさを得ることができたかもしれません。
しかし、もし樵が誠実でなければ、彼が最も必要としていたもの、本当に価値のあるもの――日々の生活を支えるための道具――を失っていた可能性があるのです。我々の生きる道は、時として短期的な利益を求める欲望で揺らぎます。
それでもなお、心に誠実さを宿し、自分自身と向き合うことを忘れない人間こそが、長い道のりの中で真に価値ある豊かさを手に入れるのです。
誠実さとは周りの評価のためではなく、自分自身のために守るべきものです。そしてその行動は、必ずや人の心に信頼という絆を生み出します。金や銀のように目に見える価値ではなく、内なる価値を築いていくことが本当の幸せへの道です。
そしてその価値は、次世代へと受け継がれていく永遠の宝となります。私たちが選ぶ行動一つ一つが、未来の自分を形作ります。だからこそ、選択の瞬間には自分自身に問いかけてみてください。
目の前の利益を取るか、それとも正しい道を選ぶか。そうすることであなたの人生にも、真の価値という形の「金の斧」が訪れるのです。
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